軽い言葉、想い言葉
私はどちらかと言えばプレゼンが得意だと言われる。
自分でも苦手だと思ったことはない。「伝えること」や「プレゼンテーション」に関しては、たしかに得意だと思う。(プレゼン、好きだし。)
たしかに、これまで、相当数のプレゼンをしてきたという自負はある。
特に「わかりやすく話す」ということに関してはかなり意識しながら。
だが、「確実に伝わっているか?」といえば、うーん、、、と思うこともある。
今日はそんな話。
■流暢に話すことがプレゼン上手なわけではない。
この1年くらいは、いろいろな会合やらなにやらで、何かとあいさつやスピーチ、プレゼンをすることが多い。
逆に、いろんな人のスピーチやプレゼンを聞くことも多い。
私にとって人のスピーチやプレゼンを聞くことは、少し大げさだが、酒を飲むことより好きだ。
TEDやグロービスの講演なんかは、ホタルイカの沖付けやおしんこ盛り合わせくらい、無くてはならないものだ。
(いや、若干盛った。ごめんなさいw)
スピーチは面白い。その人の人となりがよく表れるからだ。
その人のボキャブラリーは、その人の経験や勉強の証でもあるが、私はその人の「感受性」や「想像性」の証だと思っている。
私は感受性が豊かな人が大好きだ。
そして、想像力の豊かな人も大好きだ。
こういう人たちは実に人間くさいからだ。
話を戻すと、、スピーチを聞くのが好きだ、と言ったが、
では、すらすらと流暢に話す人のスピーチが好きかと言われればそうではない。
それだけが、重要ではない。
スピーチは、スムーズに話すことが目的ではない。
「相手に伝わることが」唯一にして最大の目的だ。
相手の心に一滴でも、何かしらを落とすことが目的だ。
本質を鍛える努力をしないで、手法に走ろうとするのはよくない。
■プレゼンの上手・下手と、相手への伝わり度は必ずしも一致しない。
すらすら話すけど、まったく耳に残らない、心に残らない、スピーチは多い。
一方で、たどたどしいが、やたらと共感できるスピーチもまた多い。
人前で話す、ということはそれだけでかなりのストレスだ。緊張もする。
また少し話はそれるが、緊張はなぜするのか?
理由は簡単だ。「自分をよく見せようとしている」からだ。
自分の力量以上のものを出そうとするからだ。
持ち合わせていないのに、見栄を張ろうとするからだ。
プレゼンはある程度数をこなせば、仮に言葉に詰まった時でも、間に差し込む「添え木」のような言葉は容易に浮かぶようになる。
また、「それっぽく話す」こともできるようになる。
だが、聞き手にはあまり耳に響かない。心には当然もっと響かない。
■想い言葉は、確かに重い。
ダジャレではない。
人前で話すときに、「失敗したくない」という気持ちがはたらくと、無難な言葉を選ぶようになる。
聞いてる側からすれば「ホントかよ~!?」と突っ込みたくなる。
どう考えても「それは嘘やろ~」と突っ込みを入れたくなるような美辞麗句が並ぶことがある。
この手の言葉は、耳障りはいいが、一切響かない。
体重の乗っていない「軽い」言葉だ。
一方で、苦労話に基づいた話や、多少ぶきっちょな言い方や口の悪い言い方でも、その人の本音が入っている言葉には結構心を動かされる。
想いがこもっている言葉は、確かに「重い」のだ。
野球でも、「球が重い」とか「球が軽い」という表現が使われるが、まさにそれだ。
言葉に体重がかかっている言葉は、やっぱり重いのだ。
■重い言葉って、じゃあ、なんなんだよ??
それは「本気度」だろう。
本気の時は、自分ごと化するし、しっかり調べるし、理解して話そうとするし、良いも悪いも含めて、自分の気持ちを話すだろう。
それはスピーチのHOW TO本には決して載っていない。
リーダーになるような人は、人前で様々な形でプレゼンをすることが多いと思う。
会合のあいさつ、メンバーへのビジョンプレ、面談やコーチング、などなど。
誤解を恐れず言えば、プレゼンには方法論以前に必要なものがある。
身振り手振りがどうとか、抑揚がどうとか、起承転結がどうとか、キャッチコピーがどうとか、そんなものはすべて道具であり手段だ。枝葉だ。
では、幹はなんだ?
それは「想い」だ。
何度も言うが、想いは重いのだ。
だから、プレゼンが苦手、という人は、テクニックに走る前に、その立場で話すべきことに対する「本気度」や「自分の想い」を棚卸してみるといい。
コア(核)が無ければ、だめだ。基本ができなければ応用はできないのだ。
「あなたの気持ちが重いの、、、」
なんて言われてフラれたことがある人は、まさに、プレゼン名人になれる素養しかないのである。
(ちょっと違うか??笑)
PS:
でも、「想い」の強さを一番最初に体験する機会って、やっぱり中高生くらいの時の恋愛体験だと思うんですよね。
私はよくマーケティングもプレゼンも恋愛に例えることが多いのですが、やっぱり、どう考えても似てると思うんだよなぁ。。。笑
0コメント